鬱蒼と茂っている青葉の渓谷を遡り、杣道を越えれば視界が開けた。湧き水の水路は右に反れて、そのまま山麓へと続いている。樹影で薄暗かった場所から遮るものなく日の光を浴びて、坂田銀時は眩しさに目を顰めた。目の前には一反ほどの高原が広がっている。高原の行き止まりは崖になっており、遥か下方は峡谷だ。ここは山の中腹にある風光明媚な景勝地で、この時期、日差しはそれなりに暖かいが森の風は秋の気配を窺わせていて快適だ。銀時は竹筒を取り出し、先程汲んだ湧き水で喉を潤す。額に浮いた汗が、涼やかな風で乾いていく。
 葉や土埃で汚れた着物をはたいて、高原の片隅の石碑とその隣の墓石に目を向けた。肩に花束を担いで一歩一歩近付き、墓石の手前まで来ると膝を折って、花束を置いた。墓石に刻まれた名前を聊か呆けたように見遣って、それから、墓石の脇に横たわる人を見た。
 森を抜けた時から目についていたが、その男は風景と同化したようにごく自然にそこに寝転んでいた。墓石を支点として身体を曲げて静かな寝息を立てていた。
 銀時は男の極めて白い頬に手を触れた。それから、前髪をくすぐるようにした。二三回額を軽く突くが、起きる様子は無い。男は身体を地面に全面的に預けていた。身体を弛緩させて、どこもかしこも柔らかそうな、骨の無さそうな肢体を投げ出し、しなやかに眠っていた。右手に綿布製の袋に似たズックの紐を握っており、靴は旧陸軍の編上げのものを履いていた。そして、鮮やかな紺色の着流しの上に黒の外套を羽織っていた。その上下の統一性の無さとこの景観が不思議なぐらい馴染んでいた。地面を擽るように吹く風が男の前髪を揺らし、外套をはためかせる。銀時はズックを引き寄せ中を覗いた。布の財布と手拭とキャラメル、それに草臥れた紙切れが入っている。紙切れを取り出し、キャラメルを一粒拝借した。
 紙切れにはこう、書かれたあった。
『この人をどこぞで拾った親切な方、お手数かけますが、下記住所まで届けてください。 東京都○○区○○番地 沖田総悟』
 銀時は紙をズックに仕舞うと男を背負った。身体が弛緩しているから楽だった。肩に男のズックを掛けて高原を後にした。森に這入る際、一度だけ墓石を振り向く。そこは来た時と同様にひっそりとしていて、訪問する者の時の流れだけを感じているようでもあった。持参した花束は風に運ばれて峡谷に落ちるだろうか、それともそのまま老朽するだろうか。来年訪れる時にはもう無いだろう。来る時よりも重い荷物を携えて銀時は下山した。
 男は、ずっと眠り続けていた。特別特急汽車「つばめ」の三等席に搭乗しても、ぐっすり身体を椅子に預けて寝たきりだった。起きる気配は微塵も無かった。一度、同じ車両の田舎臭い男がトンネルの中で窓を開けてたいへんに煙たい思いをしたが、それでも男は目を覚まさなかった。途中下車して宿で一泊し、翌日また長い時間を国鉄に揺られ東京のプラットホームに着くまでも、やはり全く一度も目を覚まさなかった。東京駅からチンチン電車に乗り換える際も全く起きないし、肩に担ごうと思っても力の入らない身体は足を動かさせることも難儀なので仕方なく背負わなければならなかった。路面電車を降り、円タクに乗り換えて沖田宅に到着する頃は、もうすっかり夜も更けていた。
 観音開きの戸を叩き呼びかけると、直ぐ青年が出てきた。青年は銀時と銀時に背負われている男を眼にすると、小さく嘆息して「どうぞ」と銀時を家に招きいれた。家は木造二階建てで、建てたばかりなのか木の香りがした。廊下を男を背負って歩き、居間に着くと「その辺に転がしてくだせぇ」と座布団を指差すので、その上に男を横たえさせた。
「お手数掛けますね」
 そう言って青年は電気ポットから急須に湯を注ぎ、茶を湯呑に注ぐと銀時に出した。茶は煎茶だった。爽やかな香りと程よい渋みが渇いた喉を潤した。
 男は相変わらず穏やかな寝息を立てていた。青年は男の外套に手をかけた。腰に手をまわして脱がせると、靴と足袋も脱がせにかかった。着流し姿になった男は、改めて見ても整った顔立ちをして、眼は閉じたままだが、垢抜けていた。都会的な寝顔だった。
 青年は静かな瞳で男の寝顔を見守りながら、その前髪を弄った。
「この人、どこにいたんですかィ?」
「山口県の長門の山奥に」
「ふうん。今度はそんな遠くに行ってたんですねェ、土方さん」
 青年は前髪から顔の輪郭を顎に向かって沿わせる。慈しむように、身内に対する眼の色で、土方を見下ろしていた。
「そこから運んできたんだけど、ずっと寝たままなんだけど・・・・・・えーと、なんだ、土方、君か」
 青年は銀時に振り返り、複雑な笑みを浮かべた。
「そうなんです。土方さん、たまにしか起きないんです」
「たまにしかって・・・・・・どういう・・・・・・」
「中支で爆撃風にやられましてねィ。俺と、もう一人、今は仕事の都合で居ないんですが、近藤さんを庇って、ふっ飛ばされた拍子に頭を打ちまして。打ち所が拙かったようで・・・・・・一番近い病名が反復性混迷っていうらしいんですけど」
「反復性混迷?」
「意識障害の一種なんです。解離性障害とも云って、だけど、これは幼少期に強い精神的負担を受けた人がなるようなんで、土方さんは該当しないと思うんですが。きっと頭を打った衝撃で脳に異常をきたしちゃったんだろう、ってのが医者の見立てです。支那から日本に戻るまでは軽い頭痛がしただけだったんですが、戻った途端に物凄い疲労に襲われて。まぁ、これは土方さんだけじゃなかったんですがねィ。それでも、土方さんの疲労はどんなに休んでもとれなくて、とにかく、尋常じゃなかったんです。これはおかしいってなって、医者に診てもらったんですが、前例がないらしく、毎日のように違う医者にも診てもらってたんですが、それでも治療法は分からず仕舞いで、そうこうしてるうちに、喋り方がおかしくなったんでさァ、それに、足元も覚束なくなって、その数日後、とうとう発作が始まっちまいましてねェ、その場に倒れ込んじまって。最初のうちは呼びかければ目を覚ましてたんですが、徐々に目ェ、覚ましてもまた直ぐに眠っちまうようになって。段々と坂道を転がり落ちるように悪化しちまいましてねェ、時々は昏睡状態に陥っちまって、幾ら刺激しても目を覚まさない時が増えてきたんでさァ」
「そりゃあ・・・・・・」
「近藤さんはもう取り乱しまくりで、当時はもう大変でした。戦時中だし、物資は足りねェし、爆弾は落ちてくるし。もう、何度土方さん置いてっちまおうと思ったか。今は慣れましたけどね。戦争終わって暫く経つと、今度はふらふらぁっといなくなっちまうことが多くなったんです。数日経って寝ぼけた顔して帰ってきたり、誰かに連れられて戻ってきたりして。ちょいっと目を離した隙に居なくなっちまうんですよ」
 青年は土方を少し困ったような力の抜けた笑顔で見て「困った人でさァ」と零した。
「帰って来た土方さんに、なんで無断で外出したかを聞いても、本人は分からねェみたいで。記憶がすっぱり抜けちゃってるらしいんですよねィ。脳天気なもんでさァ」
「ちゃんと毎回無事に戻ってこれてんのか?」
「ボロボロになって戻ってきたり、財布から有り金を全部抜き取られたりはありますよ。だから金はいつも多めにして持たせるんでさァ。このズックは必ず持ち歩くみたいで、あと、この外套も。だから、ズックと外套のポケットに紙切れと金を入れとくんでさァ。拾ったらここまで届けてくださいって」
「大変だな」
「それも、もう慣れました。近藤さんが留守中に居なくなって戻って来てくれて良かったですよ。あの人、土方さんが居なくなると発狂したみたいになっちゃうから。心配症なんです。それはそうと、旦那はどこのお人で?」
「俺は新宿。墓参りに故郷に戻ってたんだ」
「ああ、それは。旦那がいい人で良かったでさァ。この人、送ってくれてありがとうございやす」
「いや、別にかまわねェ」
 はにかんで笑う青年は十代後半やそこらの年齢だろうと思わせた。考え事をしたり、物思いに耽るような表情をするときは至極大人びて見えるのに、そうやって笑うと若々しい。何重もの修羅場を潜り抜けてきた人間の眼をしているので、じっくりと視れば不穏な眼光を宿してはいるが、それは銀時も同じだろう。
「今日は遅いんでうちに泊まってってくだせェ。飯もまだですよね?」
 青年は銀時の返事を聞かずに立ち上がると、居間を出て行った。土方と共に残され、手持ち無沙汰に室内を見回すと、棚の上に小さな位牌といくつかの写真が飾られてあった。若い女性がこっちを向いて笑顔で写っている直ぐ隣に位牌があるので、位牌に刻まれているのはその女性の戒名なのだろう。その近辺に何枚かの写真が飾られている。いくつかに土方と青年も写っていた。南側は木製の雨戸が閉められていていて、そこからおそらく庭に出られるのだろう。居間はそこまで広くないが、きちんと掃除がされていて。余分なものがあまり無いようだった。写真の土方は勝気な顔をしていた。少し吊り上り気味な眼は切れ長で、すっきりとした美丈夫だった。
 銀時は首を傾けて土方の寝顔を眺める。本当にずっと寝ている。周囲で何が起こっても、土方は夢を見続けるのかと思うと、恐ろしいような羨ましいような気持ちになった。
 青年は戻ってくると、食事の用意ができるまで風呂にどうぞと言いに来た。好意を受けて、風呂に入り上がると食卓には蕎麦ができていた。
「伸びないうちにどうぞ」
 蕎麦には、かき揚が添えられていた。主に根野菜が多く、贅沢なようでちょっと悪い気もした。そんな銀時の心情を見抜いたように沖田が口一杯に含んだ蕎麦を咀嚼すると「近藤さんの実家の野菜なんで美味いですよ。遠慮しないでたくさん食べてください」と言い添えた。
「土方君は食べないのか」
「寝てるんでどうしようもないんです。食べたくなったら起きると思いますぜ」
 何気ない風に言っているが、食卓には土方の分も用意されている。
「ええと、君と土方君は兄弟、ではないよな」
「ええ、土方さんとは幼馴染ってやつです。この家は、俺と近藤さんと土方さんで住んでるんですが、家には俺が一番居るんで、俺の名字が表札に掛かってるんです。俺は沖田総悟っていいます。そういや、自己紹介まだでしたね。旦那は?」
「俺は坂田銀時。新宿の歌舞伎町界隈で万事屋、所謂、何でも請け負う仕事をやってる」
「へぇ、何でもですかい。じゃあ、ちょっとお願いしようかな」
「うちは高いぞ」
「まけてくだせェ。そうだな・・・・・・、じゃあ、土方さんを寝床まで連れてってくだせェよ」
 にやにやと笑う総悟に苦笑すると「蕎麦がうまかったから、まぁ、いいか」と口にした。食べ終わると、ぐっすりと寝こけている土方を背負って二階に上がり、一番奥の部屋の敷かれている布団の上に寝かせた。沖田が手際よく、土方の脈を図り、身体を拭いてやるのをなんとはなしに観察していた。桶に湯を入れ持ってきて、土方の髪の毛を洗うのを手伝うと、沖田は自分の分の布団を土方の隣に敷いた。
「なんかあったら困るので俺はここで寝るんで、旦那は隣の部屋で寝て下せェ。もう布団敷いてありやすから」
 銀時はここにきてからずっと気になっていたことを口に出した。
「沖田君さ、腕、どうしたの?」
 沖田は不意を突かれたようにちょっと動揺して、瞬きをした。それから警戒するように銀時の眼を見つめて、嘆息する。
「普通にしてたんですがねィ、旦那ァ何者です? 気づかれたことなかったのになァ・・・・・・。俺ァ、腕がほとんど利かないんですよ。力が入んないんです」
 そう言って、沖田は銀時に両手を差し出した。
「まったくって訳じゃないんです。上腕は機能するんですが、前腕がちょっとダメで、こう、手の平に電気が走ってよく痺れるんですよ。軽いものとかなら運べるんですが」
「戦争でか」
 沖田は小さく笑った。
「それにしても、旦那は慧眼ですねィ」
「筋肉の付き方が腕のとこだけおかしかったからな。物の持ち方も変だしったし、ずっと一日中家に居るのか」
「買い物とか、あと難儀しますが、肩で土方さん支えて散歩には行きますよ。近藤さんは俺を大学に行かせたいみたいなんですが、土方さんがいるし、俺も外に出て学校とかってのはちょっと不安が残りますよねィ」
「そうか・・・・・・」
 土方の濡れた髪を拭くのを変わってやる。艶っぽい黒々とした髪の毛は、水気をふくんで電球の明かりを反射させていた。人形みたいだな、とも思う。輪郭がほっそりとしているので尚更。
「土方さん、まだ症状が軽かった頃、力がまったく入らなくなる脱力発作が起こる度に俺に頼むんです。日常生活のちょっとした事を。ティッシュ取ってくれだとか、トイレに連れてってくれだとか。あん時ァ本当に辛そうでしたね。ざまぁみろとか思ったんですけど、俺、ずっとこの人の事が気に喰わなかったんで・・・・・・けど、一つずつ出来ていたことが、出来なくなっていくっていうのは、見ていてもちょっと堪えましたね。土方さん、俺が居ないところで、近藤さんと二人の時に、死にたいって云ったんです。これ以上アンタの足手まといになるになるのはもう嫌だ、って。この人があんなに打ちひしがれてるとこ初めて見たんで、俺は、だから、生かしてやろうと思ったんです。俺だって、不自由抱えてるんです。土方さんだけが不幸なわけじゃないんですよ。一人で降りさせてなんかやりやせん。生き恥をずっと晒していけばいいんでさァ。甘ったれんなざまーみろ」
 沖田は土方の額は指先で軽く弾くと、あーあ、と天井を仰いだ。そのまま体を支えている腕をずるずると倒して仰向けになる。
「俺、初対面の人に何言ってんだろ」
 水気を含んだタオルを畳むと土方の髪の毛に指を差し入れる。湿っている髪の毛を弄びながら、銀時は苦笑した。
「そろそろ寝かせてもらうわ。長旅だったから疲れた」
 土方の髪の毛から指を抜いて、立ち上がり隣の部屋に行こうとすると、ぐっ、と着物の裾が突っかかった。その瞬間、銀時は滝に似た音を聞いた気がする。激しく何かが地面を叩く音に近かった。それは軍隊の足音かもしれなかったし、やはり、故郷の滝の音かもしれなかった。もしくは、大勢の鬨の声。そして、唐突に、脇腹が熱くなる。焼けるような熱さだった。まるで刀傷を負ったような、身に覚えがない感覚だった。沖田が「あ・・・・・・」と声を漏らし、銀時は振り返る。
 土方が眼を開けていた。
 銀時の着物の裾を握りしめ、確かに土方は目を覚ましていた。口元が微かに開いており、眼は銀時を見つめていた。不思議そうに、見上げていた。
「土方・・・・・・くん?」
 土方は銀時の裾を軽く引き寄せるようにする。なぜか、銀時はその土方の行動に吸い寄せられるように腰を下ろしていた。土方の反対側の手が宙に浮く。銀時の顔より少し上に伸ばされる。銀時は自然に土方に向かって身を低くしていた。それが至って普通の事のような気がしていた。土方の掌が銀時の髪の毛に触れた。何か柔らかいものにそうするように、擦った。土方の口元が動いた。それを見て、沖田は部屋を飛び出す。銀時はその唇が象る言葉に目を凝らしていた。なぜか、予感がした。背筋に寒気が走り、心臓が波打っていた。土方の唇はゆっくりと四文字を確かに象った。音にならない言葉だった。だが、銀時は確信していた。気が付けば、土方の手を握っていた。
 土方は微かに笑うと、またうつらうつらし出した。瞼が次第に落ちていく。忙しなく戻って来た沖田は手にコップを持っていた。すぐさま土方の口元に飲み物を傾ける。土方の剥き出しの喉が嚥下運動によって動く。土方は瞬きをして、銀時と沖田を相互に見た。瞳は濡れたような色をしていた。
「土方さん、おはようごぜェやす」
 沖田はなぜか嗄れ声だった。土方の耳元に口を寄せて「随分寝てましたね。もう、起きたらどうです」と早い口調で続けた。
 土方は頷いたが、どうしても眠そうだった。瞼がとろとろと落ちてきて、銀時の裾を持っていた握力が抜けた。指先が何かを求めるようにぴくぴく動く。沖田は土方の肩を叩き、揺さぶる。「土方さん、土方さん」と声をかける。「近藤さんが明日帰ってきますぜ。明日は起きますかィ? あんたが目を覚ましてると近藤さん嬉しそうなんでさァ、今日は旦那が、坂田の旦那があんたを連れ戻してくれたんですぜ。お礼ぐらい言ったらどうです。ねぇ、土方さん」
 沖田の呼びかけ虚しく、土方は目を閉じてまた寝こけてしまった。落胆しているだろうか、と沖田を振り返るとそうでもないようだった。寧ろ、興奮しているようだった。
「旦那、土方さんがこんなに早く目覚めたの久しぶりでさァ、だいたい最近じゃあ五六日は目覚めないのに、今回は三日で目覚めましたぜ」
 銀時は喜悦を浮かべる沖田を見ても、それがどう凄い事なのか分からなかった。それよりも、土方が象った四文字の方が気になった。うっすらと眼を細め笑みを作って、唇を動かしたあの四文字こそが、銀時の胸を熱くさせたようだった。だが、なぜ熱くなるのかがわからない。それは既視感、に似ていた。土方とはこれまで会ったことはないはずだ。銀時は一度知り合った人を忘れる事はない。記憶力はいい方なのだ。記憶よりも、感覚だった。土方とは、沖田ともどこかで知り合っているような、有り得無いのにも関わらずそんな気がした。胸騒ぎがしていた。土方を拾ってからだ。どうしてか赤の他人には思えなかった。
 安らかな寝顔で夢に落ちている土方を見下ろしながら、銀時は胸の内で足掻いていた。どうしても、無い記憶を呼び覚ましたい気がしていた。


 革張りの白茶けたソファに横臥する土方十四郎の黒々とした髪の毛を手で梳きながら、漫画読本を流し読みをする。ここのところ仕事の依頼の無い日はそうやって過ごすことが多くなった。
 土方を沖田総悟の元に届けたのが切欠で、あの日から数日と経たずして、近藤勲と沖田が連添って柏水堂の菓子折りを持ち、土方を背負い、訪ねてきた。その時、閑話し、依頼を受けたのだ。沖田を大学に入学させるにしたがい、近藤も仕事で忙しく家に戻れぬ日も多いという事で土方を家に一人にさせるのは何かと不安だから、偶に万事屋で預かって欲しい、と。これを銀時は了承した。仕事で外出する時は一階でスナックを営む店子に注意してもらえれば済む事である。万事屋から一階に降りるとすれば店舗の入口脇の屋外階段で下に行くしか道はないし、階段を降りるときに軋むような音が響くから、ちょっと気を配ってもらえば直ぐ分かる。断る理由はどこにも存在しなかった。土方は殆ど眠っているわけだし、労力はそんなに掛からない。これも何かの縁だろうと、その時は軽い気持ちで、そう、思っていた。
 万事屋で度々土方を預かるようになるうちに、土方は頻繁に目覚めるようになっていた。目覚めている刻は一時間かそこらだが、これは大した進歩だという。前は五日に一度、しかも一時間として目を開けていなかったらしい。それに最近は放浪癖も鳴りを潜めている。近藤は銀時のお陰だと大層喜んだが、銀時は土方を拾って沖田の自宅に戻しただけで特に何もしていない。沖田も煮え返らぬ顔をしていた。ずっと土方に寄り添っていた沖田からしたら銀時が現れてから土方が良い方向に向かっているのが面白く無い面も少なからずあるだろう。だが、近藤は底抜けな笑顔で、きっとトシは銀時に会いたかったのだろうと、いかにも、もっともらしく言った。だが、それに伴って、寝入りばなに恐ろしい夢を見たり、起床時に全身が金縛りにあうなどの症状の睡眠障害が良い兆しの反動か反作用するようになった。
 土方が身体を丸めて身じろぎする。これは起き出す前兆だ。指先と足先が揺れる。口元を引き結んで、やがてゆっくりと瞼を開く。銀時は漫画読本をテーブルに投げ出し、土方の顔を覗き込む。土方は銀時を認めると、眠気を帯びた笑顔を見せた。今回はどうやら金縛りにあわなかったようだ。土方は、どうしてか目覚めた時に銀時と眼が合うと笑う。目を覚まして銀時が居ないと、起床からしばらく笑顔をみせないし、室内をひたすらに見回している。
「はよ」
 おはよ、と土方の口元が動く。土方は身体を動かそうとするが、起き抜けで自分の身体を上手く扱えないらしく、手伝ってやる。ソファに座らせると、力の入らない身体は背凭れを少し擦り下がった。
「何か飲むか? 腹は減ってねぇか?」
 土方はずっと点滴生活だったので、現在の食事は専ら流動食だ。胃も小さく、ちょっとでも食べ過ぎると吐いてしまう。何度か失敗しているので、銀時は土方の食事には細心の気を配っていた。嘔吐は身体の負担が掛かり過ぎる。身体の調子が悪いと寝入りの魘され方が酷くなる。その様は至極、不憫だった。
 気怠そうに体勢を立て直そうとしながら、土方は何も食べたくないと首を横に振った。それでも、起きているときに為るべく食べれる物は食べさせたい。何か口の前に持っていけば惰性で食べるだろうと立ち上がると、土方は銀時の腕を捕まえた。腫れぼったい眼でじっと銀時を見つめると、銀時の手の平を取って己の頬に添えた。その、一連の動きが銀時を何時も落ち着かなくさせる。
 土方が何を考え、何をしたいのか、銀時には分からない。人は誰かと接する時、自分と照らし合わせて、自分の価値観を通して相手を見定める。それから距離を決める。だが、土方の行動は銀時にとって全くの範疇外だった。感情の揺れは分かる。嬉しかったら笑うし、眠かったら少し不機嫌になる。寒かったら困ったような顔を見せるし、熱いとぼんやりとする。そういうのは見れば一目瞭然なのだが、それ以外のちょっとした動作がさっぱり分からない。基本的に土方は、銀時が何を喋っても静かな瞳で見つめるだけだ。頷くし、首を左右に振ることもある。音を発しないが、唇の動きで何を喋っているのかも分かる。だが、こうやって、銀時の手を取り自分に引き寄せる土方の行動は判断為兼ねた。沖田にそれとなく聞いたが、沖田には別段そのような行動をとらないようなのである。近藤にも同様で、どうやら今現在、銀時の肌だけを土方は求めるようなのだ。
 一番理解しがたいのは土方からの弄うを、銀時は不思議なぐらい快く受け入れ、自らも土方に無意識のうちに触れている事だった。土方はきれいな奴だとは思うが、歴とした男である。なのに、土方との過剰すぎる弄うがどうしてか全くといっていいほど抵抗が無いのだ。
 土方が銀時の胸に顔を押し付けてきたので、銀時は土方の首に腕を巻いて支えてやる。顔を寄せると、土方の髪の毛が香った。寝起きの体温は熱く、芯の無いような身体は柔らかかった。土方が少し顔を傾けたので、頬が触れ合った。そのままただ、じっとしていた。銀時は意識が鈍るような快感を感じていた。そうしていると段々思考が麻痺してくるようでもあった。土方の身長はそう銀時と変わらないにも関わらず、胸に寄せると小さく感じた。寝たきりだったので、土方のほうが華奢で筋肉が無い分、柔らかい。銀時よりひと回り土方は細い。銀時は土方を胸で受け止めたまま鈍い甘みを感じている。
 土方が顔をまた傾ける。睫が触れて、鼻が触れ、顎に唇が触れる。
「土方・・・・・・・・・」
 気がつけば擦れた声で名前を呼んでいた。そこで、銀時は、はっと我に返ると、土方をそっと引き剥がして立ち上がる。土方は背凭れに寄りかかった。惚けなくてはならない、と銀時は「腹減ったな」と頭を掻いてぎこちなく笑う。無表情に近い表情で銀時を見つめる土方の眼に、非難するような不貞腐れた光が混じっていた。
 焦れた平行線の日々だった。土方の視線を感じながらも銀時はそそくさと居間を離れた。

 急な依頼が舞い込んできて、二日ほど留守にすることになったのは、土方を預かる筈だった日の早朝だった。
 銀時はすぐさま円タクで沖田の家に向かうと、沖田は土方を連れて、ちょうど出かけようとしていた。土方は目を覚ましていて、沖田に凭れ掛かっていた。沖田は銀時を見ると不思議そうな顔をした。
「悪い、沖田君。今日依頼が入っちまって、預かれないんだわ」
「ああ、そうなんですかィ」沖田は大きい瞳を瞬きして、土方と顔を見合わせる。「それじゃ、今日はうちに居てもらいますかねィ。旦那、実は近藤さんとも話してたんですが、最近は放浪癖も無いし、意識もしっかりしてるから、そろそろ一人にさせても大丈夫なんじゃないかって、安い依頼料で旦那に守りしてもらってやしたが、それも申し訳ねェんで」
「いや、俺は構わないけど・・・・・・でも、そうだな。ここんとこ良くなってるし、このままずっとって訳にもいかねぇもんな」
 銀時は云いながら、まるで自分に言い聞かせているようだ、と思っていた。それがどうも、土方から逃げているようで、何ともいえない居心地の悪さを感じていた。
 土方は銀時を真っ直ぐ見据えていた。何かを喋り出しそうな気配もあったが、土方の唇はとうとう動かなかった。沖田に凭れて家の中に戻る土方の背中が遠くなってから銀時は妙に焦った気持ちになった。何か一言土方に声をかけたほうがいいのかもしれないと思いながらも、二の足を踏んでいた。土方の背中が見えなくなって、沖田だけが戻ってきた。
「土方さん、寝起きなんでちょいっと身体に力入らないですが、もう少ししたらしゃんとしますぜ。そうしたら、縁側に出て庭でも眺めてますよ。うちではいつもそうなんです」
 沖田の物言いは、銀時に遠慮するような印象を与えた。
「放浪癖、出ないといいな」
「もう意識もちゃんとしてるし大丈夫でしょう。今週末にでも病院行って検査してもらいますよ。もっとちゃんと喋れるようになるといいんですがねィ」
「沖田君はこれから学校か、そのへんまでちょっと歩こうか」
 二人は駅までの道を連れ立って歩く事にした。街路樹の染井吉野は黄金色の葉をぶら下げていた。うねる根が地面におさまりきらず浮きでている。コンクリートで囲まれているのが窮屈そうだった。今年は夏の暑さや台風、強風の影響なのか葉がこの季節にしては少ないように思う。だが、季節の衣替えが着々と進行しているようだった。
 銀時はしばらく無言でいた、そのうち、どこかの家で赤ん坊の泣き声が聞こえたのを区切りに話し出した。
「土方ってさ、頭ぶつける前はどういう男だったんだ?」
「喧嘩っ早くて、物騒で、今とは全然違いますよ」
「戻りたいのかな、土方は」
「さぁ、俺や近藤さんが話しかけても、寝ぼけたような顔でうっすら笑うだけなんで、どうでしょうね。もうかなり諦観しちゃってますしね。・・・・・・でも、まぁ、気持ちも分からなくもないんですよ。ちょっとした浦島太郎ですからね。夢から覚めたら自分の知らない時が流れてて、順応する前にまた眠っちまって、の繰り返しですからね。さらに、自分の意識しないところで行動しちまってるんだから、ちょっとした恐怖ですよ。漸く最近、良くなってはきましたけど、やっぱり眠ってる時間も長いし、言葉も上手く喋れないようだし、歩くにも、起き抜けは力が入らないし、少し歩けば浮腫みがひどくて足元不安定ですからねィ」
「無意識のうちに歩くことを最近、夢遊病って言うんだってよ。睡眠時遊行症」
「病名はぽんぽんできるのに、治療法はそう簡単に見つからないんですね」
 沖田は皮肉めいた風に笑う。淡々とした印象の青年だが、今まで幾多の理不尽な事に巻き込まれてきたのだろう。偶に、静かな怒りや戸惑いが顔を出す。まだ、若いのだ。
「最近の医学は、取り除いちまうのが多いらしいからな」
「取り除く?」
「そう。ここが悪い、ってなったらそこをごっそり取り除くんだってよ」
「取り除いてどうするんでさァ、その取っちまった後は空洞ですよね」
「そこは、違うものを持ってきて繋いだり、代わりになる機械を入れたりするらしい」
「悪いところを元の通りにすることはできないんですかィ?」
「そういう治療もあるんだろうけど、一度駄目になったら再生は難しいんだと。余計なもんまで身体が生み出す事もあるらしいしなァ」
「手っ取り早いから取り除いちまってるだけなんじゃねェの? 本当はそこを元通りにできるのに、それは労力とか金が嵩むから、しないだけじゃねぇんですかィ。身体が余計なもん生むだすなら、その余計なもんを自然に吐き出すこともできそうな気がするけどなァ」
「よくわからねぇ、だけど、土方の場合は取り除くものがねぇだろ。身体のどこが悪いわけでもねぇんだし」
「まぁ、そうですよねィ」
「取り除けないから、治療法がねぇんだよ。きっと」
「じゃあ、土方さんは身体の中、何も失わなくて済むんですね」
「心のほうは失っちまったもん沢山あるかも知れねェけどな」
「大丈夫ですよ、今の話聞いたら、そっちは取り戻すの簡単そうだ。身体から取っちまうわけじゃねぇんですから。あの人、結構ふてぶてしいから、そのうち、きっと・・・・・・・・・」沖田は軽く駆けると銀時の前に回った。「旦那、土方さんにこれからも会いに来てやってくだせぇ。あの人、きっと旦那の事気に入ってやすから」
 銀時は曖昧に笑って、沖田と別れた。
 土方が銀時に甘えたのは、現実逃避や自暴自棄があったのかもしれない。どうしようもなく苦しくて、銀時に寄りかかったのかもしれない。逆に、銀時が土方を受け入れたのは同情だったのかもしれない。憐憫を感じて、土方に手を伸ばしたのかもしれない。だとしたら、この先、二人でいれば不幸になる。超えてはならない線を踏み越えてしまう前に留まらなくてはならない。
 土方と居る時はまるで眠ってるような、気怠くしまりがない世界を浮遊していた感があった。そういった関係を心地よくも思っていた。土方の眠気に誘われるようにして、唇に吸い付き、肌を暴いてしまいそうになっていた。土方はきっとそれを望んでいた。銀時の何もかもを巻きこんでしまいたかったのだろうと思う。なぜ土方が銀時を選んだかは、薄々感づいていた。似ているのだ。銀時と土方は根底で似通っているから、心よりも、もっと深いところで共鳴したのだ。
 ここらが潮時で、ちょうどいい機会だった様に思う。今回の依頼も、沖田と近藤の判断も。
 土方との関係をこれより奥に踏み込んでは、現実と夢の区別の付かない恋情になる。絡まって縺れ合って行き止まりになる。間違いだらけだと分っていて進めるわけがない。二人で一緒に、同じ夢を見ていてはいけないのだ。

 桂小太郎は東京の本郷の屋敷町に居を構えていた。士族出身の桂の住処はちょっとしたお屋敷で、部屋がいくつも余っていた。その一室で銀時は肘を突いてだらしなく寝転んでいる。太平洋戦争で本郷界隈のほとんどが火災で焼失したものの、桂の屋敷は延焼を免れていた。そのため、戦後から暫くはこの家に居候していたので、銀時は気安かった。
 桂は留守だったが、旧知である。勝手を知っているので、桂家の女中も銀時が尋ねると快く家に上げた。何もすることが無いと、土方を思い出した。あれから一ヶ月が経つ。近藤や沖田、それに土方とはあれ以来会っていない。こちらからも連絡をしていないし、向こうからの音沙汰も無い。銀時は何やら胸にシコリのようなものが蟠っていて、落ち着かなかった。だからといって、土方に会うにはどうも気後れした。
 寝返りを打ち、目を閉じる。考えても詮無いことだと、また寝返りを打つ。そうこうしてる内に眠気が差して、気付くと転寝していた。目を開けると、明るかった部屋は薄暗くなっていた。夢を見ていた気がするが、どんな夢だったかは覚えていなかった。暫くそのまま横になっていると、桂が銀時のいる部屋の襖を開けた。
「いい加減起きて来い、夕飯たぞ」
「よぉ、じゃましてた」
「随分寝ていたな」
「ああ・・・・・・まだ眠い」
「起きろ。お前が来たんで女中が腕によりをかけて夕飯を作ったんだ。冷める前に早く来い」
 長い黒髪を翻して桂は襖を開けたまま、廊下を歩いていった。銀時は起き上がると欠伸を一つしてから、頭を掻く。腹は減っていた。
 食事をするのは台所の隣の部屋で、この部屋だけ床がカーペットになっていた。脚の長いダイニングテーブルが部屋の中央に置かれていて、庭から摘んだ花が部屋の脇の花瓶に活けてある。桂は新聞雑誌に目を通しながら銀時を待っていた。
 銀時が椅子を引いて座ると、女中が膳を運んでくる。
「いい夢を見ていたのか?」
「あ?」
「寝ながらアホ面で笑っていたぞ」桂はこめかみを掻きながら揶揄した。銀時はちょっと不貞腐れた顔をして見せて「アホ面は余計だ」と返す。「覚えてねーな」
「なんか煮え切らないことがあったのか」
「なんで?」
「お前は、そう云う時にうちに来る。解決はしそうか?」
 漆器に盛って運ばれてきたのはお造りのブリと蓮団子、小鯵の南蛮漬けに漬物。蠣のあんかけ、小鯛の塩焼き金頭のフライと魚尽くしだった。箸をブリに入れると、柔らかいようでほろほろと崩れる。口に含むと甘くて美味しかった。ブリを食べ終わるとその下の大根を箸で裂く。
「あのさ、たとえば、ずーっと寝てるとするだろ。一度も眼ぇ覚めずに五日とか六日とか。そんで、眼が覚めて、やったと起きたと思ったらまた眠くなって、抗えない眠りに落ちんの、その繰り返し。もう、そうなるとさ、何が夢で何が現実か分んなくなんのかな。起きても、その起きた世界も夢の延長っていうか、気怠いだろ、もう生きててもよく分んなくなるんじゃねぇかなぁって、そういう奴に対して、どういう心持でいたらいいのか、とか・・・・・・」
 と訊いた。自分でも話しながら要領を得ない質問だと思った。桂はちょっと考える風だったが、勘の鋭い男だ。銀時の云わんとしている事は理解しているだろうと思われた。
「銀時、胡蝶の夢って知ってるか?」
「胡蝶の夢?」
「中国の思想家の逸話なんだが、その思想家が蝶が優雅に飛ぶ夢を見たんだ。それで目が覚めたら、果たして自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶が見ている夢なのか、という話でな。お前のその疑問に直接は関係ないかもしれないんだが、つまりは、目的意識に縛られない自由な境地を表していて、その境地に達すれば自然と融和して自由な生き方ができると説いているんだ。是と非、生と死、大と小、美と醜、貴と賎・・・・・・そういう相対しているかに見えるものは、人間の「知」が生み出した結果で、それは「ただの見せかけに過ぎない」と」
「つまり?」
「難しい事や余計な事は考えないで、ありのままに受け止めればいいんじゃないのか? 寝てようが、起きてようが、生きてるんだろう。それなら、その相手を好きになる事だってありうるし、そばに居たいと思う気持ちが湧いてくることもあるだろ。どんな相手だって、眠っていなくたって、何かしら不満は少なからず出てくるものだし、自分の考え及ばなかったことが起きる事だってある。取りあえず突っ走ってみて、駄目ならそん時に考えればいいんじゃないのか?」
「それが間違いだと分っていても?」
「間違いかそうじゃないかは、結果論だろ。どうしたって後悔するなら、今したいと思う方向に動けばいいんじゃないのか?」
「相手を不幸にするかもしれなくてもか?」
「お前だって選べるんだし、勿論、相手も選べるんだ。もう時代は変わってるんだぞ、銀時。相手がお前を選んだなら、お前が仮に相手を不幸にしても、相手の責任でもあるんだ。誰であろうと、傷つけない事なんか無理だ。人と関われば時に不快にさせるし、傷もつける。そんなのを最初から怖がってたら何もできないだろ」
「まぁ、そうだな」
「今は、飯を食って。美味いと思う。それでいいんじゃないか? その後は、思いのままに気の行くままに」
「そう、だな・・・・・・」
 桂は目の前の食事に向けて、願うように云った。寂寞とした声だった。
「銀時、戦争は終ったんだ。もう、いいんだ・・・・・・」
 銀時は桂の苦悩を思った。桂のかつての仲間の大半は極東国際軍事裁判により、有罪判決を受けている。